ブッダ ラボ - Buddha Laboratory

Namo tassa bhagavato arahato sammāsambuddhassa 仏道実験室の作業工程と理論、実験結果

ブッダの足跡 その生涯と八大仏跡 月刊Chalo10月号2024年

月刊Chalo(チャロー)というフリーペーパーをご存知だろうか。インドで発行される無料の情報誌である。

この情報誌には日本食レストラン、賃貸アパート、ドライバー付きレンタカー、日本語で診療してくれる病院などの広告が載っている。日本食材スーパーや日本人会の入ったホテルなどに置いてあって、新刊が出れば早々に捌けてしまう人気誌だ。

 

その月刊Chalo10月号の特集記事は「ブッダの足跡 その生涯と八大仏跡」だった。これは私が2019年に書いたもので、その年の月刊Chalo7月号に初掲載された。そして5年後の今年に再掲載となった。

 

2019年2月にサンガ出版が主催した「スマナサーラ長老とめぐる仏跡ツアー」があり、そこに参加してこの記事を書いた。

2019年当時のChaloをパラパラと眺めてみると、5年の歳月が経ったのを感じる。今はもうない店、サービス、会社などが載っている。たぶん値上がりしているはずのアパート賃貸料を比較してみたかったけれど、2019年の誌面にはその値段が載ってない。最新号には明確に料金が示されている。おそらく借り手が会社から、情報誌を元に物件を探す個人または新規参入企業に変化しているのかもしれない。

ちなみにゴルフコースロードというメインストリートに近い「パークプレイス」という、2019年当時日本人が多く住んでいたアパートは、現在3LDKで月19万ルピー(約33万円)となっている。5年で倍近く値上がりしている。インド国内の働く人の賃金は年10%くらい上がっている、とNHKの番組でインタビューされたインド人が答えていた。

 

5年の歳月の間に、特に変化が著しいインドにおいては、誌面が大きく様変わりしたが、「ブッダの足跡 その生涯と八大仏跡」の記事は一文字の変更なくそのまま載っている。

約2600年前にシッダールタ王子が釈迦牟尼ブッダとなった出来事を地名とともに綴った文章なので、変えようがないわけだが、激しい変化の中で守り伝えられてきたということはこういうことなのか、と突然、実例に触れることになった。

 

ブッダは生前、「訪れることで心が安らかになる場所」として三つの聖地(ブッダの誕生・成道・涅槃の地)を指定した。おそらくこの地球上で仏教が消えるまで、インドから遠く離れた地からも人々がブッダの軌跡を追うことを予見していたのだろう。私もまた、ブッダの推奨したそれらの地を訪れた。その時の空気感や静かな喜びは今だに鮮やかに残っている。

(了)