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Namo tassa bhagavato arahato sammāsambuddhassa 仏道実験室の作業工程と理論、実験結果

YouTube法話ガイド【40】 スマナサーラ長老が初めて「懺悔」について語る

8月はスマナサーラ長老の一時帰国のため録画による法話が7本配信されました。その中で、初公開の法話は次の2本でした。

懺悔論 一切衆生にあやまる理由|スマナサーラ長老の初期仏教法話(06 June 2023 伊豆稲取スポーツヴィラ)※音声のみ

https://youtu.be/84xkJ11Ma9o?si=z5mkE2823oCGsXUg

「自分が死にかけているので(今のうちに)言っておいた方がいいんじゃないかな、と思って言いました」という慈しみから端を発し、スマナサーラ長老が初めて語った「懺悔論」です。

 

預流果論 四聖諦を生きる|スマナサーラ長老の初期仏教法話(07 June 2023 伊豆稲取スポーツヴィラ)※音声のみ

https://youtu.be/-AadWhbT6J0?si=e21LdMlC4mOrte3C

これは「懺悔論」の翌日の法話で、前半では、ある一つのポイントに絞って「懺悔論」を易しく解説しています。また、宝経(Ratana Suttaṃ)第9偈に説かれた預流果(sotāpatti, 最初の聖者)の境地について説かれました。

 

余談ですが私は、「懺悔論」が配信された頃、五ノ井里奈さんが書いた「声をあげて」

 

 を読んでいました。この本は陸上自衛隊に入った五ノ井さんが、職務中に同僚から性暴力を受けた事件を綴った手記です。五ノ井さんは事件を泣き寝入りすることなく、自衛隊組織や加害者に謝罪を求め続けました。実は加害者たちは、一旦は五ノ井さんと一対一で対面して謝罪したのですが、和解金の額を決める段階になって「個人的な責任があるとは言い難い」と言い出し最小限の金額で抑えようとしました。本心では反省していなかったことが露見してしまったのです。今年3月、福島地検は加害者のうち3人を強制わいせつの罪で在宅起訴し、現在は福島地裁で公判が開始されています。

この「声をあげて」という本を読み、懺悔の気持ちがない人間に謝罪を求めるのは、心身ともに削られる難事なのだと改めて知りました。まして相手は巨大な国家組織と自分の上司や先輩なら尚更です。それでもめげずに五ノ井さんが謝罪を求め続けたことで、自衛隊の内部や日本社会の性暴力に対する認識を改善させたと思います。8月は広島と長崎の原爆の日や、過去には戦争にまつわる様々ないたたまれない出来事がありました。被害に対して「謝罪」を求めることは懲罰的な意味よりも、事実を検証し社会全体のモラルを向上させる効果があることが、五ノ井さんの活動からわかりました。それを経たのちに初めて「許す」ステップへ進むことが、過ちを犯しやすい人間がより善く生きる方法なのかもしれません。

 

へーマラタナ長老の録画法話配信は2本でした。

パーリ語日常読誦経典の経文解説⑤/僧九徳の解説|へーマラタナ長老の初期仏教講座(11 Jun 2023 ゴータミー精舎)

https://youtu.be/kRBzo78lR4c?si=ec7rXn1qJpaQQUWv

 

パーリ語日常読誦経典の経文解説⑥/三宝に帰依するための偈文〔日夜の想い〕|へーマラタナ長老の初期仏教講座(27 Aug 2023 ゴータミー精舎)

https://youtu.be/_CK4VnJfBd4?si=NkG78jDYYauq0X-B

 

動画のコメント欄に次のようなコメントがありました。「へーマラタナ長老の口の動きや、表情がよく確認でき、より細かなニュアンスを学ぶことができました。それにしても、日本語の上達度がものすごいですね!!聞き取りやすかったです。ありがとうございました!」

これは確かに同感です。今後もヘーマラタナ長老にも法話をたくさんしていただけますよう、お願いいたします。

(了)