<前回
1964年東京オリンピック - ウェーサーカ祭2007(8)>
無知だけですよ、増えるのは。どんどん、どんどん。
ひとりがたくさん取っちゃうと、誰かには無いんです。
だから物があると幸せなんだけど、これがカッコ悪いんですよ。
奪い合いで取ったものだから。
アメリカの大統領にしても、幸福は感じませんよ。
感じることができなんです。
世界一流のものを使っていると思いますけど。毎日のことだからつまらないんです。
大統領専用機のエアフォースがあるでしょう。
すごい飛行機みたいです。でも、大統領がそれに驚きますかね? 驚かないんです。
もしわれわれがちょこっと乗せてもらったら、それだけでニュースでしょう。孫の代まで教えたりするんです。「憶えておきなさい、おじいちゃんはエアフォースに乗ったことがありますよ」と。
でも肝心の、飛行機の主人として乗る人にとってはどうったことはない。
全身やけどしているのに、われわれは必死で頑張っても、親指に塗るくらいしか薬はもらえないし、その薬でもやけどは治らないんです。ただ一時的に痛みが減るだけ。
わたしはやけどをしたことがありますから、経験的に知っています。
あれこれとつけたりするんですよ。冷たいと感じるいろんなものを。でも、つけた瞬間は気分がいいんですけど、すぐまたやけどの痛みが出てくる。
それで母親が強引に、ちゃんとしたやけどの薬を塗ってくれたみたいですね。
その薬を塗ったら、ほかの冷たいものをつけたりできなくなっちゃって、ただ痛いばっかりで。
世間の幸福はそんな程度のものです。
こころにある渇愛、「足らない」という気分、それをなくせば、想像を絶する幸福に達します。
そういうわけで、その教えを教えたお釈迦様に礼拝して話を終了します。
皆さまに幸福でありますようにと祈願いたします。
どうもありがとうございます。
(終)
最初から読む:誰が金持ちか? - ウェーサーカ祭2007(1)
ウェーサーカ祭2007 シリーズ全9回